#0-プロローグ『君の名は』
これは、私…小日向美咲が春先に遭遇した、とある少女との出会いと、それからのちっぽけな、けれど大きな物語です。
「あれっ?」
いつもと変わらない、何の変哲もない帰り道。彼女は、そこにいました。
普段なら特に目も向けずに通り過ぎる小さな公園。そこで見つけたほんの少しの違和感。
公園の隅のベンチに彼女は座っていました。膝にちょっと不思議な雰囲気のランプを抱えたままで。
その様子があまりにも非現実的というか、どこか消えてしまいそうな感じだったので、私は彼女に声をかけてみる事にしたのです。
「えっと、その…こんにちは」
我ながら間の抜けた声のかけ方だとは思いました。
けれど、私はこの直後にもっと間の抜けた声をあげる事になるとはこの時は考えもしていなかったのです。
「…あなた…わたしの事、知ってるんですか?」
「…え?」
「わたし…いったい誰なんでしょう?」
「はぇっ!?」
これが、この時はまだ名前も知らなかった、彼女と私の最初の会話でした。
「えーっと…つまり、”記憶喪失”って事でいいんですか?」
よくはないのだろうけれど、私にはこう言う以外に思いつきませんでした。
「そうみたい…ですね」
「うーん…こうやって声をかけたのも何かの縁でしょうから思い出すのの手伝いをしてあげるのは山々なんですが」
お節介焼きとか友達にはよく言われるけど、これは私の性分。けど、ちょっとだけ、困る事がある。
「ですが?」
「せめて、名前だけでも思い出せたりしませんか?こう…呼び方に困るんで」
そう。名前が分かれば調べるのも楽になる。
思い出すのも自分の根幹だ、他から攻めるよりは幾分楽だろう。
「ああ…それは、何だろう、こう…モヤッとした感じはあるんですけど」
「何かきっかけがあれば思い出せそう?」
「そうですね…どんな感じの名前だったかだけでも」
「名前の、感じか…」
#1へ→
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こちらがプロローグになります。
これから先どうなっていくかは皆さんの選択次第。
投票は、学園祭用掲示板で!
投票は終了しました。
3票・【a】きっとかわいい名前だ!
5票・【b】多分きれいな名前だ!
3票・【c】キラキラした名前かも…
で、きれいな名前に決定しました。
では#1をどうぞごらんください。